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福島県郡山市にある酒蔵、仁井田本家。300年を超える歴史を持つこの蔵の蔵元であり、杜氏でもある仁井田穏彦さんは「自給自足」を目指しながら、日本酒をつくっています。そして蔵に訪れてみると、こだわってつくっているものが日本酒以外にもたくさんありました。ノグチくんとバンダイさん、美味しいお酒の前にちゃんとお話を伺ってください!

田んぼをまもる、原点にかえる

ノグチ
仁井田さん、よろしくお願いします。
仁井田
よろしくお願いします。
ノグチ
すみません、お話の前にちょっと失礼しますね。えいっ、あっちいけっ、あれ??
バンダイ
ちょっと!!ノグチくん、いきなり体に触るなんて失礼だよ!!
ノグチ
いや、服をよく見ろ。仁井田さんの胸にカエルがいるんだよ。
緑のカエルだからぴょん吉じゃないし、小さいけど家の中までくるとは。
バンダイ
ぴょん吉じゃないけど、あれ刺繍だよ。かわいいカエルの。
仁井田
あぁ、これですか!うちのミッションが「日本の田んぼを守る酒蔵になる」ということで、元気な田んぼの象徴として弊社のトレードマークにしてるですよ。
負荷を抑えた循環型の農業で「原点にかえる、自然にかえる」という意味でも。

笑顔の仁井田さん、その胸にカエルが!

蔵のいろんなところにカエルが!

ノグチ
そうなんですね!仁井田さん気づいてないと思って、結構勇気出して触っちゃいました。
バンダイ
(触る前に気づくでしょ普通・・・。)
ノグチ
でもよくわかりました。元気な田んぼには元気なカエルがいますもんね。
そして、仁井田さんがダジャレもお好きだということもわかりました。
仁井田
もう触らないでくださいね。(笑)
ノグチ
もう触らせないでくださいよ!
ではインタビューせずにこのままカエルわけにもいきませんので、早速詳しくお話を。
バンダイ
(僕は恥ずかしくてちょっと帰りたいくらいだよ。。。)
ノグチ
その田んぼのお話ですが、無農薬の自然栽培で酒米をつくられているんですか?

2025年までにこの金沢の田んぼ60町歩をすべて自然田にするのが目標

仁井田
ええ。農薬や化学肥料も使い方によっては便利なものですが、
    うちでは自然からつくれないものは使わないんです。
    酒造りの主役である酵母菌も蔵に住んでいる天然の菌を使います。
ええ。農薬や化学肥料も使い方によっては便利なものですが、うちでは自然からつくれないものは使わないんです。
酒造りの主役である酵母菌も蔵に住んでいる天然の菌を使います。
ノグチ
さらりとおっしゃってますけど、大変ですよね・・・。
仁井田
大変かもしれないけれど、本物の酒造りをしてみたいんです。
バンダイ
本物、ですか。
仁井田
日本酒造りのメカニズムは一度江戸時代に完成形をみていると言われています。
そこから先はいかに安定して効率的に供給するか、という時代で。
私たちは、大変かもしれないけどそういうやり方ではなく、人の五感をフル活用してつくるお酒、五感で楽しめる優しいお酒をつくりたいんです。
ノグチ
あ!原点に?
仁井田
カエル、です!
ノグチ
そこまでお米にこだわるということは、、、
仁井田さん、パンとか食べないんですか??
仁井田
え?私ですか?食べますよ。(笑)
ノグチ
でも、夜中に隠れてこっそり食べるって大変そう・・・。
仁井田
普通に食べますよ。(笑)でも、やっぱり米でしょう!
バンダイ
仁井田さんは自然の米作りを追求しつつ、それをイベントにして発信もされていますよね?
「田んぼのがっこう」という体験イベントがあると伺いましたが、これは?
仁井田
「田んぼのがっこう」は田植え、手入れ、収穫、という流れを通じて、無農薬、自然栽培の米作りを体験していただきます。
今年は残念ながらすべてを開催することはできませんでしたが。

子どもも頑張る田んぼのがっこう

大人も楽しい田んぼのがっこう

ノグチ
お酒がいただけたりもするんですか?
仁井田
はい、大人の方は召し上がっていただけます。
あ、作業したあとですよ、もちろん。
「田んぼを守る」取り組みを楽しくお手伝いしていただきながら、自然に触れ、そして仁井田本家のことも知っていただきたいと思っています。
ノグチ
「がっこう」でお酒が飲める!楽しそう!
仁井田
このイベントで仲を深められてご結婚された方もいらっしゃいます。
イベントの際に結婚式風のお祝いもさせていただきました。
ノグチ
結婚?!絶対入学します、お酒と結婚したいです!
バンダイ
(ノグチくん、欲望が急ぎすぎて言ってることがおかしくなってるよ・・・)

米の広がり、自給自足の広がり

ノグチ
仁井田さん、僕見てしまったんですけど。
仁井田
はい。えーと、なにを?
ノグチ
プリンです!売り場にありました。
「にいだのふわとろ」って書いてありました!
いや、お米以外に気移りしてる!とかそんなことは思いませんよ。
でも僕は信じてたんですよ・・・お米を何より愛する仁井田さ・・・
仁井田
あぁ、あれもお米です。
ノグチ
え?
仁井田
正確には糀糖(こうじとう)を使って作ったババロアですね。
米からはスイーツだって作れるんです。
ですから、チョコや生キャラメル、あずきバーなんかもあります。

「にいだのふわとろ」はプレーンのほか、酒粕、黒ごま味も

壁に見つけたあずきバー!!

ノグチ
・・・やっぱり!そうだと思いました!
僕は信じてたんですよ。お米を何より愛する・・・
バンダイ
(ノグチくん、勘違いを認めなよ・・・)
仁井田
お米を使った発酵食品やスイーツも、オーガニックな田んぼを残していく
という仁井田のミッションに直結する大事な商品だと考えています。
「スイーツデー」というイベントもありますよ。
お酒が飲めない方や、お子さんにも楽しんでいただいています。
バンダイ
「田んぼのがっこう」に「スイーツデー」も。
 仁井田さんは、お酒、お米だけでなくイベントまでも作ってらっしゃるんですね。
仁井田
他にも蔵のお祭りである「にいだの感謝祭」があります。
酒蔵と地域とは、相思相愛の関係が理想だと思うんです。
昔はそれがあったと思いますし、これからの時代はより必要になってくると思います。

感謝祭での記念撮影

お酒以外も楽しいイベント スイーツデー!

ノグチ
相思相愛?
仁井田
この地域の環境があるから、仁井田本家の酒造りができる。
仁井田本家があるから、この地域が元気になる。そういう関係ですね。
お酒は米と水が命ですから、環境が悪いとつくれないんですよ。
ノグチ
お米をつくって、お酒、スイーツ、イベント、あとは何を作りましょうか。
仁井田
うちが所有する山からスギの木を切って桶を作るプロジェクトがスタートしています。
ですから、次は酒造りの道具となる木桶を作ります。
ノグチ
土鍋なんかもありますもんね。
仁井田
そうですね。お米に関係するものを作っていくと道具も増えてきました。
「自給自足の蔵になる」ことを目指してますので、あとは電力ですかね。
ノグチ
え?電力?
仁井田
今も電力会社からの太陽光100%のものを使っていますが、最終的には再生可能エネルギーで、電力も自給自足をしたいですね。
バンダイ
(エネルギーも食べ物も道具もイベントも。田んぼを守るミッションから始まった自給自足はまだまだ広がりそう!)

100年先へつなぐ

ノグチ
そういえば、創業300年の年が2011年でしたよね。
仁井田
そうです、震災の年です。
ノグチ
本来なら記念すべき300年の年に、あの震災があった。
仁井田
休む日が続いて、どうすればいいか考え込みました。
そして辿り着いたのは、今を見るだけでなく100年後へつないでいこう、と。
バンダイ
100年後?
仁井田
田んぼも酒造りも、自分の代だけではない。
100年後に向けて、守れる田んぼを守り、元気な田んぼを増やしていく。
そう考えて、進み始めました。
ノグチ
未来を見て、昔の自然な酒造り、米作りを追求する現在。かっこいい!
でも、ここまで伺って改めて思いますけど・・・大変ですよね??
仁井田
なんでしょう、大変だってあんまり思わないのがいいんでしょうね。(笑)
バンダイ
この地域の未来が楽しみですね。
仁井田
「ここは田んぼが全部無農薬だから、生き物がたくさんいて、川もキレイだから魚もたくさんいて、鳥がいて空気がキレイで、いるだけで気持ちのいい場所なんです。」
そう言える場所にしていきたいですし、それはこれからの時代、世界に発信する武器になると思います。
ノグチ
そんな環境で美味しい酒造りをするわけですね?未来の仁井田本家は。
仁井田
そうしたいです。

自然の米、水、酵母菌から生まれる酒はこれからも進化する

ノグチ
決めました!「無人島にひとつ持っていくなら何持ってく?」って今度聞かれたら、「何も持っていかなくていい!ただ仁井田さんを連れていく!」って答えます。
仁井田さんがいれば、その島は楽園になる!
仁井田
あはは、パンは出てこないかもしれませんよ。(笑)
ノグチ
もちろん、お米が食べたいです。ちなみに仁井田さんの得意料理は?
仁井田
炊き込みご飯かな。
ノグチ
期待通りのお答え!僕、出来上がるまでお酒飲んで待ってます。
バンダイ
(手伝いなよ・・・。って、お酒持ってきてる時点でひとつじゃないし)
仁井田
時間かかるかもしれませんよ。私は100年先の田んぼを見てますので。

仁井田本家の蔵人代集合!私たちが作ってます!の一枚。

仁井田さんのRethink

Rethink Point

「人がつくる酒と米」→「自然がつくる酒と米」

「酒造りは環境づくり」

そのほかの 福島のRethinkな人たち

  • ~福島フェス実行委員 藤原カズヒロさん~

    「福島から東京へ発信する」→「東京に福島をつくって発信する」

    「自分たちだからつくれるものを続ける」

    東京に福島を持ってくる

    震災後、2013年に東京の代々木公園でスタートした「福島フェス」というイベントがある。2014年に会場を港区六本木ヒルズアリーナに移し、現在も続くこのフェスをつくっているのが福島フェス実行委員会。今回は実行委員の藤原カズヒロさんに「なぜ東京で福島のフェスをやるのか?」というお話を伺うノグチくんとバンダイさん。福島という単語がこんなにも登場するのか!というシリーズ最終回。

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  • ~ミュージシャン 大友良英さん~

    「わらじまつりをどうしたいか」→「福島をどうしたいか」

    「祭りは自ら街を伝える舞台」

    誇りある21世紀の祭りを福島に

    ノイズミュージックからジャズ、ポップス、映画音楽、そして近年ではNHKの朝ドラ「あまちゃん」や大河ドラマ「いだてん」の音楽でも知られる大友良英さんは、横浜市生まれのミュージシャン。10代を福島市で過ごした大友さんは、震災後に福島市の「わらじまつり」改革に取り組みました。祭りとそこにある音楽をRethinkした大友さんにノグチくんとバンダイさんがお話を伺いました!

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  • ~ミュージシャン 渡辺俊美さん~

    「直接の手助け」→「自立の場をつくる」

    「HelpでなくMakeで生まれる未来」

    HelpでなくMakeするステージを

    TOKYO NO.1 SOUL SETや渡辺俊美&THE ZOOT16、猪苗代湖ズでも活躍する渡辺俊美さんは福島県川内村出身のミュージシャン。震災後、現地でのさまざまな活動からふるさとをどう見つめ、どうRethinkしてきたのか。ノグチくんとバンダイさんが俊美さんの思いを伺ってきました。

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