DIGEST MOVIE

福島県会津若松市。地元で「コビパン」と呼ばれ愛される「ホームベーカリーコビヤマ」は、先代が和菓子店からパンと洋菓子の店へと生まれ変わらせたパン屋さん。ここで洋菓子の枠を超える「會津が香るシュトーレン」を生み出した小桧山和馬さんのもとに、ノグチくんとバンダイさんが向かいました。どうやらとてもパンが食べたい様子です。

會津が香るシュトーレン

ノグチ
なぁ、バンダイ。俺は今とにかくパンが食べたいんだよ。
バンダイ
確かに日本酒や米焼酎と、最近お米に関係する取材が多かったね。
ノグチ
米どころ、福島のお米が美味いのは間違いない。
ただ、パンだって食べたいだろ??そのピークが、今だ!
バンダイ
じゃあ今日はラッキーだね。ホームベーカリーコビヤマさんで食べようよ。

かわいらしいコビヤマの建物。
小桧山さん、おしゃれなパン屋さんに憧れがあるそうです。(笑)

ノグチ
食べるだけじゃなく「パン」って単語もいっぱい聞きたいくらいだ。
小桧山さんって「パン」って言いたくて仕方ない人だと思うんだよ。
パンを愛しすぎてるだろうから。
バンダイ
ノグチくんは耳でもパンを楽しみたいわけね。
え?ちょっと、、、今のはパンだけに耳の話??パンの耳と・・・。
ノグチ
え??ああ、もちろん。
バンダイ
さすが!他にもうまいこと言って欲しい!
ノグチくんのそのシリーズ好きなんだよ。
小桧山
遅くなりました。よろしくお願いします。
ノグチ
・・・助かりました。よろしくお願いします。
あの、早速「パン」って言葉を聞きたいんで聞いちゃいます。
小桧山さん、ズバリ今朝の朝食は?
小桧山
チャーハンです。
バンダイ
・・・え?チャーハン?朝から?
小桧山
はい、朝から。
ノグチ
パンを愛していながら、朝食はチャーハン??
嘘でしょ、嘘って言って!
そうか、チャーハンじゃない、業界用語を聞き間違えたんだ!
チャーパンですよね?チャーパンって言ってください!
焼きたての茶色いパンですよね???
小桧山
いえ、「飯を炒める」と書く黄金の炒飯です。
ノグチ
・・・ちなみに何時ごろ?
小桧山
だいたい朝4時から仕事が始まりますので、その前ですね。

チャーハンのエネルギーで働く小桧山さん。

ノグチ
それはもう、夜食でしょ!
小桧山
イベント出店なんかがあると、1時に起きたりしますよ。
バンダイ
えええっ!そんなに早いんですか。
ノグチ
お昼は??
小桧山
お昼はパンですね、毎日。
ノグチ
良かった!チャーハンは夜食で、お昼と呼んでいるのが世間の朝食。
僕の中ではセーフです。あやうく怒りでテーブルを「バン!」って叩きつけるところでしたよ。
バンダイ
(ノグチくん、そこはバンよりパンだったのでは・・・)
小桧山
あの、今日はシュトーレンのことをお話すると思ってたんですが。
違いましたか?(笑)
ノグチ
シュトーレン?またパンじゃないものが出てきた。
シュトーレンって何ですか?必殺技ですか?
小桧山
シュトーレンはドイツの洋菓子のことです。クリスマスの時期が近づくと、当日に向けて薄く切って少しずつ食べていきます。
ホームベーカリーコビヤマといえばこれだ!という商品を作りたかったので、
私にとっては必殺技みたいなものかもしれません。(笑)
ノグチ
ここのシュトーレンはドイツのシュトーレンとは違うわけですか。
小桧山
ドイツのシュトーレンは、ラム酒などに漬け込んだドライフルーツを練り込むんですが、うちでは地酒の「会津娘」と「會津みしらず柿(身不知柿)」を使っているんです。
「會津が香るシュトーレン」と名付けました。

「會津が香るシュトーレン」の材料、ドライフルーツやナッツとともに、銘酒会津娘と干したみしらず柿が!

ノグチ
美味しそうなので、少しずつでなく一気に食べたいんですけどダメですか?
小桧山
干したみしらず柿を会津娘に漬け込んでいますが、その風味が時間と共に生地に広がっていくんですよ。ぜひ、時間をかけて変化する風味を楽しんでいただきたいです。
ノグチ
わかりました、絶対一気には食べません!
バンダイ
シュトーレンのコンテストで入賞もされたんですよね?
小桧山
国内のプロ部門で3位入賞することができました。
審査員の方も有名なプロの方たちだったので、一定の評価をいただけたことを嬉しく思います。

地元会津でのパン作り

2018年のシュトーレンコンテスト、プロ・オリジナル部門で第3位を獲得!

ノグチ
ドイツだと伝統あるお菓子なんですよね?シュトーレンって。
どうしてここ会津でシュトーレンを作ろうと思ったんですか?
小桧山
震災後に国を挙げて「世界に通用するお土産をつくろう」という動きがあったんです。
私はパンを生鮮食品だと思っているので、日持ちするお土産を作るならシュトーレンしかないな、と思いました。
バンダイ
シュトーレンは日持ちするんですか?
小桧山
2ヶ月くらい持ちますね。
ノグチ
ええ?じゃ、クリスマスで考えると11月になるくらいから少しずつ食べられる?
小桧山
そうですね、でもクリスマス以外の時期でも食べていただきたいです。
ノグチ
あっ今、商売人の顔になりましたよ!
小桧山
ここはドイツでなくアイヅですから。(笑)

会津の優しい商売人がずらり。(笑) スタッフさんのエプロンもかわいい。

バンダイ
お土産に適しているのはわかりましたけど、伝統あるシュトーレンに日本酒を使うって・・・
ルールとしてありなんですか?
小桧山
ここはドイツでなく会津ですから。(笑)
ドライフルーツを日本酒に漬け込むという手法を聞いたことがなかったので、試してみようと思ったんです。
地元の銘酒である会津娘にやはり地元のフルーツであるみしらず柿を選んだところ・・。
ノグチ
美味しかった!
小桧山
はい。すっきりとした甘さで、周りの評判もよく、これはいけるぞ、と。
ノグチ
他にもいろいろ試されたんですよね?
小桧山
それが、最初にやったものがうまくいっちゃったんです。(笑)
ノグチ
・・・小桧山さん、ここは試行錯誤した苦労を語ってもいいところなんですよ。
感動的なシーンなんですから。
小桧山
・・・うまくいっちゃったんです。
ノグチ
正直者!!
でも、いろいろ考えましたよね?最初のトライをする上で。

正直者がひとつひとつ手作りするのが、會津が香るシュトーレン。

小桧山
スタートするときに考えたのは、
「ゼロからイチを作るのは難しいだろう」ということです。
それよりも、すでにあるものにプラスアルファする方法で作ってみよう、と。
会津には美味しいものがたくさんありますから。
ノグチ
なるほど。プラスアルファの発想、あとは組み合わせですね。
スティーブ・ジョブズと同じだ!
スティーブ・小桧山の地元への愛を感じます。
小桧山
修行時代に東京に出て行って、離れてみて故郷の良さを知りました。
会津にあるいいものをもっと伝えていきたいですね。
ノグチ
そこには美味しいパン屋さんがあることも、ですよね?
小桧山
はい。(笑)

パンだからできるプラスアルファ

バンダイ
なんだかまだまだ新しいパンやお菓子が生まれそうな気がします。
小桧山
パンって、コラボレーションしやすい商品なんですよね。
シュトーレンも、今度は米焼酎を使ってみようと試しているところです。
風味が違って面白いですよ。
ノグチ
なるほど、パンはプラスアルファに向いてるんだ!
じゃあ、僕が好きな食材、例えばお肉をたっぷり使った商品も考えてくれませんか?
小桧山
実際に会津の地鶏を使ってみたり、野菜もカブを使ってみたり、いろいろと考えています。
お店にいらっしゃるお客様のリクエストから商品が生まれたりもしていますよ。
ノグチ
え?これ食べたいから作ってください、ってあるんですか?
小桧山
イギリス人のお客様が「イタリアの『チャバタ』というパンが食べたい」とおっしゃるので、何度かご試食いただいてオッケーが出て商品になったり。

黒板に見つけたチャバタの文字!

地鶏や地元のトマトとコラボレーションした美味しそうなパンたちが並ぶ。

バンダイ
お客様にオッケーもらって商品が生まれるんですか?!
小桧山
お客様の声を直にいただいて、すぐにニーズを反映できるというところが、うちのような小さな店のいいところですね。
バンダイ
大きな店にはできないことですよね。今後が楽しみです。
小桧山
地鶏や野菜など、会津の生産者さんと一緒に新しい会津の名物を作りたいです。
それを県内外のみなさんに届けられるように頑張ります。

地元の高校生と一緒に考案したラスクも。

桜蜜に続いて、かぼちゃのラスクも生まれました。
若い子たちはお店のことを「コビパン」と呼ぶとか。

ノグチ
最後に本気のお願いをしていいですか?
次の新商品で、ぜひ「チャーパン」を作ってください!
小桧山
それは、焼きたての茶色いパンでいいですか?(笑)

元は和菓子屋さんだったというコビヤマ 。
お父様とお母様の代にパン屋さんになったそうですが、
和菓子屋さんの遺伝子が、日本酒を使うというオリジナルのシュトーレンにつながっているのかも。

小桧山さんのRethink

Rethink Point

「洋酒でつくるドイツのクリスマス菓子」→「地酒でつくる会津のクリスマス菓子」

「プラスアルファで考える」

そのほかの 福島のRethinkな人たち

  • ~福島フェス実行委員 藤原カズヒロさん~

    「福島から東京へ発信する」→「東京に福島をつくって発信する」

    「自分たちだからつくれるものを続ける」

    東京に福島を持ってくる

    震災後、2013年に東京の代々木公園でスタートした「福島フェス」というイベントがある。2014年に会場を港区六本木ヒルズアリーナに移し、現在も続くこのフェスをつくっているのが福島フェス実行委員会。今回は実行委員の藤原カズヒロさんに「なぜ東京で福島のフェスをやるのか?」というお話を伺うノグチくんとバンダイさん。福島という単語がこんなにも登場するのか!というシリーズ最終回。

    MORE
  • ~ミュージシャン 大友良英さん~

    「わらじまつりをどうしたいか」→「福島をどうしたいか」

    「祭りは自ら街を伝える舞台」

    誇りある21世紀の祭りを福島に

    ノイズミュージックからジャズ、ポップス、映画音楽、そして近年ではNHKの朝ドラ「あまちゃん」や大河ドラマ「いだてん」の音楽でも知られる大友良英さんは、横浜市生まれのミュージシャン。10代を福島市で過ごした大友さんは、震災後に福島市の「わらじまつり」改革に取り組みました。祭りとそこにある音楽をRethinkした大友さんにノグチくんとバンダイさんがお話を伺いました!

    MORE
  • ~ミュージシャン 渡辺俊美さん~

    「直接の手助け」→「自立の場をつくる」

    「HelpでなくMakeで生まれる未来」

    HelpでなくMakeするステージを

    TOKYO NO.1 SOUL SETや渡辺俊美&THE ZOOT16、猪苗代湖ズでも活躍する渡辺俊美さんは福島県川内村出身のミュージシャン。震災後、現地でのさまざまな活動からふるさとをどう見つめ、どうRethinkしてきたのか。ノグチくんとバンダイさんが俊美さんの思いを伺ってきました。

    MORE
ページトップ