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福島県南相馬市で開かれている「騎馬武者ロックフェス」は、震災後に運営未経験の地元仲間が集まってスタートさせた音楽フェス。被害の大きかった南相馬でフェスを作る際に持っていた視点とはなにか?
福島県では暖かいとされる南相馬も寒かったインタビュー当日。バンダイさんとノグチくんが熱いお話を聞いてきました!

ゼロから作るフェス

ノグチ
福島県でも海沿いの浜通りはあったかいはずなのに、なんだこの寒さは。
バンダイ
今日はここも真冬って感じだね。
ノグチ
よし、帰ろう!
バンダイ
ダメだよ!お二人がもうすぐいらっしゃるんだから。
ノグチ
お二人?もしやまた漫才コンビかっ!漫才コンビは話が長いぞ!
バンダイ
あぁ、前回の「母心」のことね。大丈夫だと思うよ、今日は。寒いし、外だし。
ノグチ
何?外で話すのかっ!断る。屋根をよこせ!せめて壁を作れ!
バンダイ
無茶言うね。いや、でも作れちゃうかもな。
ノグチ
え、壁を作れちゃうの?今日会う人って、もしかしてどっかの元大統領?
急にシンゾードキドキ。えーっと、プリーズビルドアップ、オッケー?
バンダイ
いや、違うんだけど。でも後ろの土地にいろいろ作っちゃう人たちなんだって。
鎌田
よろしくお願いします。騎馬武者ロックフェス実行委員会、代表の鎌田です。
吉川
前代表の吉川です。

左:代表の鎌田仁さん 右:前代表の吉川勝彦さん。寒そう・・・。

ノグチ
・・・日本語でいけそうですね。ではさっそく漫才、いや壁を作ってもらえますか?寒いんで。
鎌田
壁ですか?一週間くらいかかるかな。
ノグチ
は?
吉川
この場所にフェスのステージとか、駐車場とかを作ったんですよ。毎年夏に。
ノグチ
今じゃなく、夏に?・・・どなたが?
鎌田
我々が。
バンダイ
騎馬武者ロックフェスは、実行委員会の皆さんが会場作りもすべて手作りしてるんだって。
ノグチ
ええ??このお二人が、夏の熱い野外フェスを作る?今は寒さに震えてるのに?
鎌田
これは・・・騎馬武者震いです。インタビューに興奮してて。
ノグチ
よし、オチもついたので帰ります!ありがとうございました。
バンダイ
まだ何も聞いてないよ!!実行委員の皆さんはフェスの運営をしたことがなかったって本当ですか?
吉川
そうですね。震災後に音楽フェスをやろう!と仲間で話したんですけど、何から手をつけていいかわからない状態で。知り合いの方に相談したら「クラウドファンディングをやってみたら?」と勧められて、まずはそれで無料開催をしようと。
バンダイ
そこから2014年に初開催。本当に手探りだったんですね。
鎌田
右も左も分からない状態から、知り合いの方づたいにアーティストさんを紹介してもらったり。開催までに2年近くかかりましたね。
ノグチ
2年!!やってみてどうでした??
吉川
始まったと思ったら終わってました。疲れたとかいうレベルじゃないんですよ。ただがむしゃら。(笑)
ノグチ
我武者羅ロックフェスじゃないですか!
鎌田
ほんとに。我武者震いしっぱなしです。
ノグチ
・・・我武者震いはよくわかんなかったけど、大変だったのはわかります。いっちばん大変だったことって何ですか?
吉川
後ろに見える雲雀ケ原祭場地が最初の会場になったんですけど、ステージそのもの以外は全部我々の手作業なので、測量して図面引いて、杭打ってネット張って・・・。
ノグチ
ちょっと待ってください。かなりの広さですよ、それを測量から?

この広い場所にフェス会場をゼロから作ったとは、そりゃ疲れるなんてもんじゃないですよ。

鎌田
そうです。駐車場とかも仕切りを作ったり。1週間くらいかけてやりました。手が痛くて痛くて。
ノグチ
あ!痺れた手が我武者震いの正体!
鎌田
確かに。(笑)撤収とか清掃作業で終わった後もさらに1週間くらいかかりました。その手作り感が騎馬武者ロックフェスの特徴でもあります。

嬉しい苦情

バンダイ
まだまだ大変なことありそうですね?
鎌田
最初の頃は「安全・安心」という面でもわからないことが今より多かったので、そういう面での難しさはありました。最大限の配慮をしながら、来てもらった人に南相馬を実際に見て、感じてもらえるように準備しました。
ノグチ
仮設住宅があるエリアもまだ市内にあったり。
鎌田
そうですね。そこから回を重ねる中で「音がうるさい!」という声が出てきたりしたのは嬉しかったです。
ノグチ
え?苦情ですよね?
吉川
苦情ではあるんですが、それが出てくるのも人が戻ってきてるからこそだ、と。

昼も盛り上がり。

夜も盛り上がる。となれば、一日中音が響くわけで。

ノグチ
ポジティブ!
鎌田
最初の頃は本当に人がいなかったんで。あぁ、人が戻ってきてるんだと感じました。
吉川
とはいえ、その声を受けて会場を2017年に馬事公苑に移したんです。
ノグチ
2017年というと4年目ですね。
吉川
その4年目に台風が直撃してしまって。
ノグチ
やむなく中止に?
吉川
いや、やっちゃったんですよ。(笑)
バンダイ
え?雨風の中?
鎌田
さすがにそうもいかないので、1日目が終わった後に、徹夜でステージを全部屋内に移動して。

降ってきたぞー!!これからステージ移動するぞー!!の年。

ノグチ
本物の騎馬武者でも出陣しないような天気の中、徹夜!
吉川
うちらバカなんで。わはは。(笑)
ノグチ
騎馬鹿武者になっちゃった!(笑)
バンダイ
(すごい。逆にフェス作りのベテランだったらやれないことかもしれない。)

里帰りのフェス

バンダイ
大変な思いをしてフェスをやろうと思えるのってなぜなんでしょうか。
吉川
もともと、騎馬武者ロックフェスは震災後にお墓参りに来てもらうために始めたんです。
ノグチ
お墓参りに?
吉川
里帰りの楽しみですよね。お祭りとかがあると、それに合わせて故郷に帰る。だから、フェスに来てもらって、その時にはお墓参りもしていってね、という思いが最初からありました。
ノグチ
なるほど。
鎌田
最初の年かな、会場近くのお宅には「こういう催しがあるので、ちょっと大きな音が出ます」って挨拶回りをしてたんですけど、そしたら家のおじいちゃんが「それに合わせて娘が帰ってくるんだ、やってくれてありがとう」って言ってくれて。
バンダイ
嬉しいですね。
鎌田
やる前から「やって良かった」と思えました。(笑)
ノグチ
鎌田さんはちょっとフライング気味なところありますよ。
吉川
このフェスはそうやって、家族がつながるもの、家族で楽しめるものにしたくて。実家に帰ってきた、と思えるような。

子どもたちが楽しめる催しもたくさん。

馬にも乗れる。なぜならば・・・。

南相馬には伝統の祭り「相馬野馬追」があるから!

バンダイ
これだけ大規模なフェスだと県外からもお客さんはいらっしゃいますよね?
鎌田
県外から何回も来てくれる方が、みんな南相馬を第二の故郷みたいに思ってくれて「ただいま」って言ってくれるんですよ。それで、我々が「おかえり」って。
ノグチ
嬉しいなぁ、それ。

県外からの嬉しい声も寄せられる。

吉川
「ただいま」は嬉しいですね。やってみて本当に感じました。それで、最後にスタッフがみんなハイタッチでお見送りするんですよ。「また来年ね」って言いながら。
ノグチ
そのキャッチボールが次への力になるんだなぁ。あれ?不思議と寒さに震えるお二人が、とてもカッコ良く見えてきました。

お客さんをハイタッチでお見送り。

鎌田
ようやく気づきました?(笑)この地域にフェスがなかったですから、ないものを自分たちが作る!という思いを形にしたいんですよね。時に揉めたりもしながらですけど。
ノグチ
あ、やっぱり揉めることもあるんですね?
鎌田
揉めますね。それも含めて青春っぽいかな。アオハルだ!あはは。
ノグチ
・・・良かった。一瞬カッコ良く見えたのが、元に戻ってきました。
バンダイ
・・・。今年で震災から丸10年ですね。変わってきましたか?
吉川
そうですね。人が戻ってきて変わってきたと感じる部分と、まだまだこれからだと思う部分どちらもありますが、これからも自分たちができること、好きなことで地元を盛り上げたいと思っています。

鎌田さんと吉川さんのRethink

Rethink Point

「音楽好きのためのフェス」→「家族が里帰りするフェス」

「経験に勝る地元への愛」

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